忘れた頃にやって来る。お待たせしました素股の時間です。
素股諜報部員の皆様のおかげで、素股リストもめでたく45作品のタイトルを連ねるまでになりました。ありがとうございます。皆様のお力なしではここまでのリストにはなりませんでした。今や「あねこです」と名乗ると「あ、素股の……」と言われるようになったのも、皆さんが読書中のBLに素股を見つけると「あねこに知らせなきゃ!」という刷り込みがあるのも、みなみなさまの心強い後押しがあってこそです。感謝感謝です。
さて今宵のテーマは
「素股でなければできない性的関係」です。
先月、東京でオタク友達に飲み屋で素股の可能性についてクダをまいた際に、あらためて素股のもつ無限の可能性を認識しました。
新橋の居酒屋の個室を占拠して繰り広げられたオタ話のさなか、素股という限りなく性行為に近いけれども厳密にはセックスではない、ロマンあふれる淫靡な行為は、何もラブラブな攻受カポーだけのものではない、ということにはたと気づいたのです。
ええいわかりにくい。
要は、設定上、あるいは性格上、あるいは倫理上、いくらなんでもハメたらダメだろう!
と思われる者たちでも、素股ならできんじゃん? ということです。
広がりまくった可能性妄想を以下に羅列したいと思います。
●ケースその1 「受×受」
男が好きなんじゃない好きになったのが男だったんだ、の類義語、受が好きなんじゃない好きになったのが受だったんだ、そして俺も受なんだ! という切ない叫びをあげる、相思相愛の受がいるとしましょう。
二人はやがて……そう、214ページぐらいからはどっちかが攻に転じて本懐を遂げることができるかもしれませんが、69ページあたりではまだ布団に並んで寝転んで「ああ、○○くんいつ襲ってくれるかな♥」とドキドキしながら待ち、そのうち眠ってしまうような関係です。
繋がりたいけど繋がれない。だって俺たち受なんだもん!
そんな受×受カップルにぜひお薦めしたいのが
素股、素股でございます。「挿れる」「受ける」どちらも平等に体験できる素股ならば、まだ攻めることに踏み切れない仮名・渚(受)も仮名・カヲル(受)の「あなたと合体したい」気持ちも擬似的にではありますが、叶えられるのではないでしょうか。
●ケースその2 「お年寄りを大切にしようJL」JLとは何かって? 爺ィズラブですよ。お年寄りですよ。
高齢化社会の進む中、BL界にも高齢化の波が押し寄せて来ていることは、木原御大の「NOW HERE」を筆頭に、まぎれもない事実でありましょう。
攻めがどんなに高齢化しようとも、多少イチモツの持続時間が短くなったりエロシーンが枯れて来たりする位で済みますが、受が高齢化の一途をたどった場合、いくらファンタジーなBLといえども、老体に鞭打つようなエロシーンでは萌えません。
たとえば、ほのかな恋心を抱きつつも自覚なく別れ別れになった幼なじみと、老人ホームで再会した二人の好々爺。「寅吉、実はわしはあのころお前を…」「それ以上は言わんでくれ源次郎」と枯れた身体を寄せ合うも、80年閉ざされた菊座は今更開かず、戦時中は連射砲のごとくいきり立った息子も今はうなだれぎみ。
そんなシルバーカップルにもぜひお薦めしたい素股。
老いた身体に無理もかけず、若き日の美しい思い出だけを瞼に浮かべ、すりすりと身を擦り合うなんてロマンじゃないですか?
●ケースその3 「報われないノンケラブ」BL界ではたいがい、相手がノンケだろうと根っからの女好きだろうと、最後には陥落するのがセオリーです。
しかし、たまにはいてほしい絶対にホモらないと拒否る攻。
俺には妻子がいるんだ家庭があるんだそれよりなによりホモじゃないんだと逃げ惑う上司(35歳/2児のパパだが仕事にかまけて子供が懐いてない)。
一度でいいんだ愛なんていらないから抱いてくれと迫る受(部下/27歳/真性ホモ)。
ぜひ彩景でりこさんの作画で見たい、そんな報われないラブの問題も、素股があれば即解決!
何か頼み事をするときには、最もハードルの高い条件から提示していくのが交渉術。
たとえば、1万円借りたいのならまず「10万貸してくれ」と言うべきなのだ。
頼まれた相手は当然10万なんて貸せないと断るだろうが、「じゃあ1万円でいいから」となれば、10万を断った手前1万ならいいか、と錯覚して貸してくれたりする。
俺は絶対ホモじゃないし一生ホモらない!と拒絶する上司に「抱いてくれ」「挿れてくれ」と言ったところで、やってくれるワケがない。だが、散々抱いてくれ挿れてくれと粘った挙げ句に、「じゃあもうこれが最後。挿れてもらうのは諦めるから僕のココで……」と素股だけでもとお願いしてみれば、案外してくれるかもしれない。
素股は入れない=セックスじゃない=妻は裏切ってない
そんな打算的な考えが上司に浮かべばモウマンタイ。
あとは「素股より気持ちいいことしようよ」とでも言って誘惑しろ受!
とまあ、これは単なる一例、いや三例に過ぎませんが、素股というのは、本来であればセックスが不可能だろう、という関係性に置いても疑似性行為として潜り込ませることができる素晴らしい行為なのです。
他にも、ロリショタ教師が教え子に手をつけたけども「本番は卒業まで待って」という生殺し状態の時に素股、あるいは、実の兄に肉体関係を迫られて「僕も本当はお兄ちゃんが好きだけど、それだけは…!」な弟くんと切なく素股るなど、さまざまな状況において素股が大活躍なのです。
初体験の受を労る素股、やりかたがわからない少年同士の素股、絶倫な攻めをかわすための素股、初めて同士で「あれ、もしかして入ってない?」な素股と、さまざまな素股がありますが、そこに素股でなければならない性的関係性を加えていただければ、素股の可能性はさらに広がっていくことでしょう。
世界のみんなが素股の可能性とエロティシズムに早く目覚めればいいな!